大阪大学 世界適塾入試の軌跡

2年目となる大阪大学の世界適塾入試(以下、適塾入試)ついて特集します。適塾入試に合格した2018年の研伸館卒業生にアンケートを実施しました。その結果を踏まえて適塾入試について述べていきたいと思います。


どの程度の「力」が必要なのか。

推薦・AO入試というと「勉強しないで入学する入試」と誤解していないでしょうか。
その考えは適塾入試に関しては100%通用しません。昨年、今年の合格者達から言えることは、大阪大学に合格できる学力を「10」とすると、前期試験で合格する生徒は教科の学力が「10」、適塾入試で合格した生徒は教科の学力が「7」以上、それ以外での高校生活で評価すべき要素やPotential が「3」以上はあると言えます。

[イメージ]

大阪大学への合格力を「10」とした時
前期試験合格者=教科の学力のみで「10」
適塾入試合格者=教科の学力 「7」以上, 教科の学力以外「3」以上

以下の表を見てください。

<共通テストのボーダーラインと適塾合格者の関係性>

※1 合格者人数が1~2名の学科に合格した生徒のデータは除く。
※2 ベネッセデータネット参照

C 得点率=合格率40%
B 得点率=合格率60%

まず注目すべきは、共通テストにおいては全員が前期入試で阪大に出願できる成績であるということです。この共通テストの成績であれば、慎重に考えれば神戸大学・大阪市立大学に出願、二次試験の力がある場合は、そのまま阪大に出願する人もいるでしょう(なお、実際に受験はしていないものの、12人の前期出願を見ると4人は神戸大学に出願していました)。

上記より、大まかに言えば、

適塾入試合格者は、共通テストにおいて前期試験で大阪大学に出願できる得点を取っている。

とまとめることができます。

出願書類はどの程度重要なのか。

 「国公立なんだから、推薦入試だって共通テストが勝負!提出書類なんて適当で良い!」。こんな勘違いをしてはいないでしょうか。残念ながら、それでは適塾入試に通用しません。以下のデータを見てください。

実際に書類審査だけの一次試験が行われる学部の中で、「人間科学部」「外国語学部」「理学部」「工学部」には不合格者が出てます。大学と受験生のマッチングを重視する今後の大学受験に繋がる試験がAO入試や推薦入試ですので、受験生の志望理由や過去の経験を証明する書類に関して比重があることは当たり前のことです。

また、前ページの表からは、志望理由書は審査の他に「面接や口頭試問の資料」でもあるということがわかります。適当に書いた書類、誰かに代筆してもらった書類がたまたま一次審査を通過してしまった場合でも、面接で志望理由書の内容を聞かれ、困ってしまうのは目に見えてます。

出願条件が29年度と30年度で異なるため、単純比較はできませんが、適塾入試初年度であった昨年は「人間科学部」と「外国語学部」は一次試験での不合格者は出していません。つまり「昨年、全員通っているから大丈夫だろう」という甘い考えで提出書類を作成した受験生が「人間科学部」と「外国語学部」にいた可能性は十分あります。