阪大・神大における入試改革の影響


私立大学合格者数厳格化!
関関同立が変わると阪大神大受験の流れも変わる!?

18歳人口が急激に減少しはじめる2018年を過ぎ、多くの大学が変革を迫られています。2016年度入試から、入学定員超過による私立大学等経常費補助金の交付の基準が厳しくなりました。

また2017年度以降の学部等の新設を認可しない基準となる、入学定員超過率も厳しくなりました。そして2018年、私立大学等経常費補助金が不交付になる定員超過率の基準の段階的引き上げが完了しました。このような制度的な変更は各大学の合格者数に大きな影響を及ぼしています。

主要関西私立大学の合格者数(一般選抜及び大学入試共通テスト利用等)の推移を各大学のホームページや調べられる範囲の情報でまとめてみました。

<主要関西私立大学 合格者数の推移(研伸館調べ)>

いわゆる関関同立において、合格者数が大幅に減少していることが分かっていただけると思います(同志社大学は合格者数をあまり減らしていないように見えますが、同志社大学は定員を2017年度入試(6,025人)→2018年度入試(6,351人)と326人増加させていますので、入試の厳格性においては、その他の大学と変わらないといってよいでしょう)。

そのため、研伸館では阪大・神大の併願私立大学として関関同立を受験する生徒も多いのですが、2018年は阪大・神大合格者の中でも、多くの生徒が関関同立の合格通知を得ることができなかったという結果となってしまいました。つまり、阪大・神大合格者にとって関関同立は“押さえ”にならなかったということです。国公立の二次試験は2月25日。関関同立の発表は2月15日前後。“押さえ”のつもりだった私立大学から不合格通知を受け取り、不安定な精神状態で国公立大学の二次試験に臨んだ生徒も多くみられました。

※2019年度以降については文部科学省より「1.0倍を超える入学者数に応じて学生経費相当額を減額」、「定員超過率を0.95~1.0倍にした大学に補助金を上乗せ」という方向性が示されています(上記の内容の実行は、2016年からの3年間の厳格化の効果を踏まえ、2018年6に大学に正式な通知が見込まれています)。

以上のように、私立大学の合格者数の厳格化は、阪大・神大の受験に大きく影響を与えると考えられます。

なお、私立大学の合格者数の厳格化のみならず、2018年度の国立大学入学定員は前年度に比べて43人減の9万5,650人になっています。医学・歯学系学部は増加しましたが、人文社会系学部や教育系学部で定員が削減されました。18歳人口減少の影響で、今後も定員削減は続く可能性が高いと言えます。

今後、阪大・神大などの難関大学を目指す受験生は、過去の受験生以上に高い学力が要求されることになると予想されます。

受験生と大学側の「マッチング」が入試の基本になる!?

「2020年までに入試が大きく改革される」と言われて久しいので、皆さんも大学入試が「学力試験一辺倒型」から「多面評価型」へと変わっていくことはお聞きになったこともあるかと思います。

今後、日本の大学入試は「多面評価型」へと変化します。その理由を簡潔に示すと、一つは「社会で求められる力」と「大学で求められる力・大学卒業時に身につけている力」の不一致をなくすことにあると言えます。そして、もう一つには、受験生が「自分が一番学びたいことができる大学に入学」し、大学側は「大学側が望む人材を獲得しやすくする」ということにあります。特に後者は「マッチング」という言葉で表現されることがあり、言い換えれば「受験生と大学が相思相愛であること」を理想とするということです。

この流れを受けてか、神戸大学では平成 31 年度入試より“「志」特別入試”が導入される予定です。現在進められている大学入試改革の理念に基づいて、学力の3要素の多面的・総合的評価をふまえた選抜が予定されています。ネーミングからして「マッチング」の要素を感じる新入試は、関西の教育関係者が非常に注目する入試の一つです。

後期試験の定員はAO・推薦入試の定員へ徐々にスライドする!?

大学入試の方向が「受験生と大学が相思相愛であること」を理想とするならば、国公立大学の入試制度として、それと矛盾したものが出てきます。そう、後期試験です。前期試験で出願した大学と異なる大学や学部を出願するのが一般的な後期試験。入試制度としては「受験生と大学が相思相愛であること」と相容れないものと言えるかもしれません。そうなると、今後、後期試験は廃止の流れが止まることはないと言えます。

では、後期試験が廃止されると、その定員はどこにいくのでしょうか?それがAO・推薦入試の定員です。京都大学は2009年度に医学部保健学科(現在の人間健康科学科)で後期試験を廃止し、後期試験を全廃しました。そして2016年からAO・推薦入試に相当する特色入試を開始しました。また大阪大学は2017年度に後期試験を全廃し、同年に「世界適塾入試」という名のAO・推薦入試を導入しました。全ての大学が後期入試の定員 をAO・推薦入試の定員に回しているわけではありませんが、今後も多くの大学で同様の変更がなされる可能性はあります。

大阪大学 世界適塾入試の軌跡